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アプリはリリース後にどう育てる?4,000ダウンロードを突破した「グリラボ」の運営・改善事例

アプリはリリース後にどう育てる?4,000ダウンロードを突破した「グリラボ」の運営・改善事例

アプリ開発では、ストアへの公開が一つの大きな節目になります。
しかし、実際のアプリ運営では、リリース時点で想定したユーザーや使われ方が、意図しない形になることもあります。

どれだけ事前にユーザー像を考えても、公開前に立てられるのはあくまで仮説です。使われる機能や利用者が迷う場所は、リリースして初めて見えてきます。

有限会社関戸園芸様が運営し、micomiaが開発と改善運用をサポートさせていただいている園芸サポートアプリ「グリラボ」も、公開後の利用状況を受けて大きく変化してきたアプリの一つです。

グリラボは2026年2月にリリースされ、同年7月にはiOS・Androidの累計ダウンロード数が4,000件を突破しました。アプリ広告は使わず、関戸園芸様のYouTubeとInstagramから継続的に利用者が増加しています。

ただし、当初想定していた利用者と、実際の利用者には大きな違いがありました。
本記事では、その違いをどのように捉え、機能やUIの改善につなげたのかを解説します。



園芸サポートアプリ「グリラボ」とは

グリラボ アプリ画像

グリラボは、植物や庭の写真を撮影し、AIに植物の種類や状態、必要な手入れ、病害虫、剪定、雑草対策などを相談できる園芸サポートアプリです。

写真を使ったAI植物診断だけでなく、関戸園芸の社長である関戸樹さんをモデルにした「関戸AI」、その日に優先すべき手入れを提案する「いまやるべきこと」、庭の写真からリフォーム後のイメージを生成する「庭のデザイン案」などを提供しています。

現在の機能についてはグリラボとは?写真から植物や庭の悩みを相談できるAI園芸サポートアプリで詳しく紹介しています。


当初想定していたのは、親子で家庭菜園を楽しむアプリ

グリラボ 旧バージョンの画面画像

上記の画像はグリラボがリリースした時の画面デザインです。
今よりももっとシンプルでデザインや機能の配置は今と全く異なります。

グリラボを企画した当初は、子どもを持つ世代が、親子で家庭菜園や植物の育成を楽しむ場面を想定していました。

植物を育てた記録を親子の思い出として残し、スタンプラリーをきっかけに外へ出て植物を探す。育てた植物や発見はSNSで共有する。そのような体験を考えていました。

この想定から、リリース当初は主に次の機能を用意していました。

  • AI診断

  • 植物の育成記録

  • スタンプラリー

  • 植物をテーマにしたSNS

  • 育成ガイド

  • カレンダー

親子で楽しむという前提ですと、記録やスタンプラリーを中心にした構成には整合性がありますが、企画として筋が通っていることと、実際に必要とされることは同じではありませんでした。


実際の中心利用者は50代以上の園芸愛好家だった

リリース後に利用状況と利用者から寄せられる声を確認すると、実際の中心利用者は、当初想定していた子育て世代ではありませんでした。多かったのは、50代以上で、すでに園芸を趣味にしている方です。

さらに想定と違っていたのは年齢だけでなく、利用目的です。
当初は「子どもと植物を育てた思い出を残す」「植物を探して遊ぶ」といった体験を用意していました。実際の利用者が求めていたのは、植物の状態を知り、目の前の困りごとを解決することでした。

そんな利用者が求めている機能と一致しない機能を複数備えていたため、利用者からは「使い方が分からない」や「何のためにグリラボを使うのか?」という声も届きました。単に操作説明が足りなかったわけではなく、利用者が使いたいと思っていない機能が目立つ場所に並び、アプリ全体の使いにくさにつながっていました。

そこで、利用者に合わせて機能を再構築し、デザインも利用者に合わせて改善を重ねていく方向に変更しました。


ダウンロード数だけでは分からない「使われている機能」

アプリ運営でダウンロード数は重要な指標です。
一方で、ダウンロード数だけを見ても、アプリの中で何が評価されているのかは分かりません。

グリラボが約2,000ダウンロードだった時点で機能ごとの利用状況を確認すると、育成ガイドやスタンプラリーの利用は月に10回程度にとどまっていました。2,000件のダウンロードがあることを考えると、メイン機能として目立たせ続けるには弱く改善は必須でした。

反対に、よく使われていたのがAI診断でした。植物の写真から種類や状態を確認し、病気や手入れについて相談する機能は、実際の利用者が抱えている悩みと一致していました。

この結果を受けて、育成ガイドやスタンプラリーをメインの導線から外してサブ機能として提供を続けることにしました。そして、利用率の高いAI診断をトップ画面の中心へ移動させる方向へと変更しました。

利用頻度が低くても、一部の利用者には必要な場合があります廃止か継続かの二択にせず、目立つ場所から移動させることでも、アプリ全体は分かりやすくできます。


ユーザーの声を、画面と機能の改善につなげる

グリラボの旧バージョン

この画面は2026年6月時点での画面です。

この時はすでに画像構成は利用者の利用頻度に合わせて最適化され、多くの人に求められている機能を前にそこまでの機能は後ろに下げるなど整理整頓が行われています。

グリラボでは、リリースから約2〜3か月運用した段階で利用者の声を確認し、改修へ反映してきました。新機能を増やすだけでなく、並び順、文字の大きさ、背景色、画面の見せ方も継続的に見直しています。

主な改善は次のとおりです。

AI診断をトップ画面の中心へ移動

最も利用されているAI診断へすぐ到達できるよう、トップ画面を変更しました。メニューを探してもらうのではなく、最初に必要な機能を提示する設計です。

利用率の低い機能をサブ機能へ移動

育成ガイドやスタンプラリーは提供を続けながら、メイン画面での優先順位を下げました。機能数を大きく減らさず、中心となる使い方を伝えやすくしています。

カレンダーを平易なUIへ変更

カレンダーには「文字が小さく使いにくい」という声がありました。利用者層を踏まえ、見やすく操作しやすいUIへ変更しています。

3DCGで機能の内容を視覚的に伝える

3DCGを使い、機能の内容を視覚的に伝える構成へ変更しました。説明文を読まなくても、どのボタンから何ができるか想像しやすくするためです。

プッシュ通知で新機能や更新を案内

プッシュ通知を実装し、新機能やアプリの更新を利用者へ伝えられるようにしました。機能は追加するだけでなく、存在を知ってもらう必要があります。

アウトレットショップを提供

園芸会社が植物を直接出品するアウトレットショップを用意しました。園芸を趣味にする利用者へ、AIによる相談だけでなく、その後の購入までつながる場を提供しています。

現在も、文字サイズや背景色などを調整しています。新機能だけでなく、小さな迷いや読みにくさを減らすことも重要なアップデートです。


半年間で画面デザインが大きく変わった理由

グリラボ8月

この画面デザインは2026年8月のものになります。

どちらかというと親子での利用より、お孫さんとの利用が想定できました。

また、スマートフォンの操作に早くから慣れていた世代ではない方がユーザーとなっていることからわかりやすくかつ、カジュアルなテイストに仕上げています。

micomiaでは、これまでにもグリラボについて複数の記事や開発実績を公開しています。公開時期の異なる記事を比べると、同じアプリでありながら画面デザインが大きく異なります。

これは、想定ユーザーをもとにした初期設計から、実際の利用者と利用目的をもとにした設計へ移行した結果です。グリラボの場合、最初に達成したいことは「植物について診断・相談すること」だったため、トップ画面もAI診断を中心に再構成しています。

以前と現在の画面が違うことは、初期設計が失敗だったことではなく、リリース前の仮説を実際の利用によって検証し、改善できたと考えています。

開発初期の設計思想については園芸サポートアプリ「グリラボ」開発記録でも紹介しています。初期の設計と現在の運用を併せて見ることで、アプリがどのように変化してきたかが分かりますのでぜひこちらもご確認いただけますと幸いです。


YouTubeとInstagramから広告を使わず利用者を獲得

グリラボは、アプリ広告を使わず、関戸園芸様が運営するYouTube「関戸園芸【お庭男士】チャンネル」とInstagramから継続的にインストールを獲得しています。

Instagramではリール動画を継続的に投稿し、アプリストアへの導線を設置しています。YouTubeでも園芸に関心を持つ視聴者へ紹介し、2026年7月までにiOS・Android合計4,000ダウンロードを突破しました。

普段から植物の育て方、剪定、造園などを発信し、園芸の困りごとを持つ視聴者との接点があることが、このユーザー数の増加を支えています。動画で解決方法を知った視聴者へ「写真を撮ってAIに相談する」という次の選択肢を提示でき、普段の発信とアプリの機能が自然につながります。

YouTubeやInstagramを運営する企業がアプリを作る場合、普段扱っている悩みと、アプリで解決できることをつなげる必要があります。

ただし、インストール数と継続利用は別ですSNSによる集客と、利用状況に基づくアプリ内の改善を並行して進めておりグリラボは今も改善が進んでいます。


新機能は「完成品」ではなく、検証すべき仮説

新しい機能を企画するときは、「利用者に役立つはずだ」という仮説を立てます。しかし、開発してリリースしたことは、その仮説が正しかったことの証明にはなりません。

少なくとも、次の点を継続的に確認する必要があります。

  • その機能がどれくらい利用されているか

  • 利用者は途中で操作をやめていないか

  • 想定した目的で使われているか

  • 使い方について同じ質問が繰り返し届いていないか

  • よく使う機能へ迷わず到達できているか

  • 改修後に利用状況や問い合わせ内容が変化したか

ダウンロード数だけでは、こうした状況は分かりません。機能を開いた回数、操作を完了した回数、途中で離脱した場所など、機能単位で利用状況を見ることが必要です。

また、数字だけでは「なぜ使われないのか」までは分かりません。利用回数が少ない理由は、機能が不要だからかもしれませんし、存在に気づかれていない、ボタンの意味が分からない、文字が読みにくいといったUI上の問題かもしれません。

そのため、利用データとユーザーの声は、どちらか一方ではなく組み合わせて判断する必要があります数字で起きていることを把握し、利用者の声から理由を考え、改修後の数字で仮説をもう一度確かめる。この繰り返しが継続的なアプリ改善につながります。

現在のグリラボは、実際の利用によって必要性が確認された機能と、これから検証する新機能の集合体です。利用が確認できた機能を中心に据え、新しい仮説を小さく追加して検証する繰り返しによりアプリをより良いものへと変化させています。


継続的なアプリ運営は、開発会社にもノウハウを蓄積する

グリラボを継続的に改善することは、アプリを利用する方や運営する関戸園芸様だけでなく、開発を支援するmicomiaにとっても大きな意味があります。

リリース後まで継続して確認することで、開発中には得られない知見が蓄積されます。実際の利用者が想定と異なる場合の画面の見直し方、低利用率の機能の整理、年齢層に応じた文字や情報量の調整、新機能の知らせ方、SNSから主要機能への案内などです。

園芸という個別分野で得た知見であっても、考え方はほかのプロジェクトへ応用できます。

  • リリース前の想定を固定せず、実利用からユーザー像を更新する

  • ダウンロード数だけでなく、機能ごとの利用状況を見る

  • 利用率の高い機能を最短で使える画面構成にする

  • 使われない理由を、データとユーザーの声の両方から考える

  • 大規模改修だけでなく、小さなUI改善を積み重ねる

  • 集客チャネルとアプリ内の体験を一つの流れとして設計する

これらは園芸アプリに限らず、業務アプリ、教育アプリ、SNS、ECアプリなどにも共通すると考えています。


まとめ|使われるアプリは、リリース後に育てられる

グリラボは2026年2月のリリース後、YouTubeとInstagramから広告を使わず利用者を獲得し、同年7月にiOS・Android合計4,000ダウンロードを突破しました。

当初は親子で家庭菜園を楽しむアプリを想定していましたが、実際の中心利用者は50代以上の園芸愛好家でした。そこで、よく使われるAI診断をトップ画面の中心へ移動し、利用率の低い機能をサブ機能へ整理しました。UIや機能の見せ方も、実際の利用者に合わせて変更しています。

アプリの新機能は、完成した正解ではなく仮説です。リリース後に利用率を確認し、ユーザーの声を聞き、配置やUIを修正し、再び結果を確認する必要があります。

現在のグリラボは、利用によって価値が確認された機能と、これから検証する仮説の集合体です。今後も利用者の声とデータをもとに改善を続けていきます。

micomiaでは、アプリを作って公開するだけでなく、リリース後の利用状況を踏まえたUI/UX改善や継続開発にも対応しています。アプリを公開したものの利用が伸びない、どの機能を改善すべきか分からない、YouTubeやInstagramの視聴者へアプリを提供したいといった場合は、お気軽にご相談ください

畑井駿佑

畑井駿佑

micomia株式会社の代表取締役です。 エンジニア、プロジェクトマネージャーを経験し、2024年にUI/UXにこだわった使いやすいシステム/アプリを開発するmicomia株式会社を設立しました。

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