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建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側

建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側

建設現場で働く外国人技能実習生にとって、日本語の壁は安全面でも定着面でも深刻な課題です。しかし、既存の日本語教材は日常会話や観光向けが多く、建設現場に特化した学習コンテンツがほとんどありませんでした。
「ゲンゴー」は、その課題に向き合い、建設用語に特化した4択クイズ形式の学習アプリとして開発されました。なぜ特化型にしたのか、どのように設計したのか——開発の背景と設計思想を解説します。


目次


ゲンゴーに建設用語学習だけでなく、JLPT対策を入れた理由

はじめに

建設現場で使う日本語だけに絞れば、もっとシンプルなアプリにもできたはずです。
それでもゲンゴーにJLPT対策機能を入れたのは、視野を現場だけに限定しなかったからです。

N4は、日本語の基礎力を広げる目安になる

日本語能力試験と呼ばれるJLPTはN5〜N1までの級が用意されており、N4レベルまで学べると、通常会話の基礎がかなり整ってきます。
現場用語だけを覚えるのではなく、日常生活で使う日本語も理解できるようになることで、日本での暮らし全体が少しずつ楽になります。

現場の外にも、日本語が必要な場面は多い

仕事中のコミュニケーションだけでなく、買い物、病院、行政手続きなど、日本で生活するうえで日本語が必要な場面は数多くあります。
そのため、資格試験に挑戦することが、現場以外でも日本に馴染むきっかけになるという考え方が採用されました。

実務日本語と試験対策を一つに入れる意味

現場特化と試験対策は、別々のものに見えるかもしれません。
しかし実際には、仕事で使う言葉を学びながら、生活全体の日本語力も上げていく流れは自然です。
アプリの中でそれがつながっていることで、学習の目的も広がります。

まとめ

JLPT N4対策機能は、単に試験対応のために入れたものではありません。
現場で働くための日本語から、日本で暮らすための日本語へ視野を広げる役割があります。
その意味で、ゲンゴーは“仕事用語アプリ”にとどまらない設計になっています。


外国人技能実習生向けの学習アプリを作るうえで、多言語対応は大きなテーマでした。
ただ翻訳を用意するのではなく、どういう考え方で言語を切り替え、どのように日本語習得へつなげるかが重要です。

今回はそんなゲンゴーの設計の裏側を紹介します。

対応言語は、現場に多い出身国から決めた

対応言語は、日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語です。
これは建設業界で多い技能実習生の出身国と、彼らの母語を踏まえた選定です。

最初は母語で理解することを優先した

学習設計としては、まず母語で理解することを優先しています。
そのうえで、少しずつ日本語で理解できる範囲を広げていく流れです。
いきなり全部を日本語で覚えさせるのではなく、理解の土台を先に作ることで、学習の挫折を防ぎやすくなります。

多言語対応は“安心して始められること”につながる

知らない言語で学ぶこと自体が、すでに心理的な負荷です。
そこで母語の支えがあると、学習の入口がぐっと広がります。
また、アジア地域では複数言語環境の人も多く、柔軟な言語対応は利用しやすさに直結します。

UXとしては細かな表示崩れも重要だった

多言語対応では、単純な翻訳だけでなく、端末設定言語による自動切り替えや、文字数の違いによるUI崩れの防止も意識しています。
言語が変わっても使いづらくならないことが、実用アプリでは非常に重要だと考えます。

まとめ

多言語対応の目的は、対応言語を増やすこと自体ではありません。
利用者が安心して学習を始め、母語理解から日本語習得へ自然に移れる状態を作ることです。
その意味で、多言語対応はこのアプリの基盤機能の一つです。


学習アプリは、機能を増やせば価値が上がるとは限りません。
むしろ、毎日触るものほど、分かりやすさや軽さが重要になります。
ゲンゴーでは、その考え方をかなり強く反映して設計を行いました。

今回はその裏側を発信していきます。

アプリの使いにくさは、それだけで継続の敵になる

外国人にとって日本語を学ぶこと自体がすでに負荷のある行動です。
その上で、アプリの使い方まで難しいと、ユーザーはすぐに諦めてしまいます。
少しのストレスでも毎日積み重なると、学習から離れる理由になります。
だからこそ、シンプルなUI/UXが最優先と考えました。

あえて入れなかった機能にも意味がある

継続率を考える上で、あえて削ったものもあります。
その一つが、学習者間のランキング機能です。
競争要素は一見モチベーションにつながりそうですが、建設現場で働き、帰宅後に勉強する人にとっては、必ずしも心地よいものではありません。
個人の成長に集中できる環境を優先したことで、アプリ全体の空気感も整いました。

ホーム画面は“迷わず使えること”を最優先にした

導線設計では、ホーム画面に優先度をつけて機能を配置しています。
使いたい機能へすぐにアクセスできることは、毎日使う学習アプリにとって非常に重要です。
複雑さが少ないほど、勉強以外に意識が取られにくくなり、学習に集中しやすくなります。

まとめ

ゲンゴーが目指したのは、情報の豊富さではなく、毎日使い続けられることでした。
学習アプリでは、UI/UXの良し悪しが継続率に直結します。
その意味で、シンプルさを徹底したこと自体が、このアプリの重要な設計判断です。


日本語学習アプリは数多くありますが、それでも今回、あえて建設現場に特化した日本語学習アプリを作ったのには理由があります。
現場で必要な言葉は、日常会話の延長だけではカバーしきれずそこに明確な需要があったためです。

今回はそんな建設業での日本語学習に特化したゲンゴーの開発裏側をシェアできればと思います。

建設現場には、一般的な教材では拾いきれない言葉がある

建設現場では、普段の日本語とは違う意味で使われる言葉が少なくありません。
たとえば日常では花を思い浮かべる「あさがお」という単語が、現場では別の意味を持つこともあります。
こうしたズレは、一般的な日本語教材だけでは理解しにくい領域です。
だからこそ、現場特化の学習内容が必要でした。

建設用語が整理されていること自体に価値がある

建設業界向けに特化する最大の価値は、必要な単語が厳選されていることです。
何を学べばよいか迷わず、現場で実際に使う言葉に集中できる。
この効率の良さは、学習時間が限られている技能実習生にとって大きな意味を持ちます。

“実際の場面で役立つ”実感が学習意欲につながる

現場で使う言葉を学ぶことで、「あ、これのことか」と現実の仕事の中で結びつく瞬間が増えます。
この実感があると、学習は単なる暗記ではなくなります。
学んだことがそのまま仕事で役立つと分かることが、継続のモチベーションを生みます。

まとめ

建設現場特化にした理由は、ニッチさを狙ったからではありません。
必要な人に、必要な言葉を、迷わず届けるためです。
日本語学習アプリとして見ても、現場で使える語彙に集中できる設計は大きな強みだと考えています。


ゲンゴーの中心機能は、建設用語クイズです。
この機能が核になっているのは、最も手軽に取り組みやすく、勉強習慣につなげやすいからです。
特に4択クイズという形式には、継続しやすくするための狙いがあります。

学習のハードルを下げることが最初の目的だった

自由記述や難しい入力を求めると、学習開始のハードルは一気に上がりますが、4択ならすぐに取りかかれます。
それに加えて、選択肢の作り方によって難易度も調整しやすく、初心者にも対応しやすい形式です。
学習者のレベルがそこまで高くないことを前提に、初歩から入れる設計にしている点とも相性が良いです。

“正解したくなる”気持ちを作る演出

このアプリでは、正解時に日本式の「はなまる」を表示します。
これは単なる演出ではなく、日本の文化を感じてもらうための設計でもあります。
学習の場面に小さな達成感を入れることで、次もやってみようと思える流れを作っています。

不正解でも、自然に復習できるようにする

不正解時には答えと解説を即時表示する構成になっています。
復習は重要ですが、ユーザーに「あとで見直してください」と委ねると、そのまま流れてしまうことが多いです。
そこで、面倒でも自然に解説が目に入るようにし、その場で理解できる設計にしています。

問題数が多くても“重く感じさせない”工夫

700問以上の問題数がある一方で、1つの単位を10クイズに絞ることで、始めやすさを保っています。
ボリュームはありながら、1回ごとの体験は軽いというバランスが、習慣化に効いています。

まとめ

4択クイズは、簡単だから採用したのではなく、続けやすいから採用した形式です。
学習アプリでは、正しさだけでなく、始めやすさと終えやすさが重要です。
ゲンゴーの学習体験は、その基本を丁寧に押さえています。


建設業界では、外国人技能実習生の受け入れが進む一方で、定着の難しさが課題になることがあります。
技術や勤勉さだけでは解決しにくい壁の一つが、現場でのコミュニケーションです。
ゲンゴーは、そうした課題に対して、日本語学習の面から支援するために生まれたアプリです。

きっかけは「定着しにくさ」への課題意識だった

このアプリの出発点は、建設業界の事業者から、技能実習生の定着に課題があるという相談を受けたことでした。
現場に必要な人材がいても、言葉の壁があることで働きづらさが生まれ、職場に馴染めず孤立してしまう。
その背景には、単なる語学力不足ではなく、現場で本当に必要な言葉へ触れる機会の少なさがありました。

日本語学習は、単なる勉強ではなく現場の生産性にもつながる

このアプリが目指したのは、日本語の勉強そのものではありません。
現場での意思疎通をスムーズにし、結果として仕事のしやすさや生産性向上につなげることでした。
日本語を学ぶことが、働くことや生活することに直接つながる。
その実感が持てる設計であることが、このアプリの価値になっています。

最初に解きたかったのは「勉強習慣」の問題だった

日本語学習の課題というと、教材の質や難易度に目が向きがちです。
一方で、今回最も大きな課題として置かれていたのは「勉強習慣」でした。
学習内容以前に、毎日少しずつでも継続できる状態を作らなければ、身につくものも身につきません。
だからこそ、ゲンゴーは使い続けやすさを中心に設計されています。

まとめ

ゲンゴーは、外国人技能実習生の日本語学習を支援するアプリであると同時に、建設現場のコミュニケーション課題に向き合うアプリでもあります。
言葉が分かることは、仕事の理解だけでなく、職場への定着や生活の安定にもつながります。
その入口を作ることが、このアプリの役割です。


翻訳とAIは“今”を支え、学習機能は“将来”を支える ゲンゴーの機能分担

はじめに

ゲンゴーには、クイズや動画だけでなく、AI対話サポートや翻訳機能も入っています。
一見すると機能が多く見えますが、それぞれの役割はかなり明確に分かれています。

学習だけでは、すぐに現場で困らなくなるわけではない

日本語を学び始めたとしても、すぐに現場で不自由なく会話できるわけではありません。
そのギャップを埋めるために用意されているのが翻訳機能です。
学習途中でもコミュニケーションをつなぐ役割を持たせています。

AI対話は、現場利用に合わせて考えられている

AI対話サポートを入れた理由には、現場で手袋をしていてキーボード入力などの細かい作業が難しいこともありました。
つまりこの機能は、単なる最新機能ではなく、現場での使いやすさから逆算して考えられています。
“今のコミュニケーションを助ける機能”として位置付けられているのが特徴です。

学習機能は、将来の日本語力を作る

一方で、建設用語クイズや動画、試験対策は、日本語を身につけていくための機能です。
短期的な翻訳と、長期的な習得。
この二つを分けて設計することで、アプリ全体の役割が明確になっています。

まとめ

ゲンゴーの面白さは、今すぐ困っていることと、将来の成長の両方を一つのアプリで支えている点です。
翻訳とAIは現場の“今”を助け、学習機能は日本での生活や仕事の“これから”を支える。
この機能分担が、アプリ全体のバランスを作っています。


今後は、もっと学習が続くアプリへ ゲンゴーの次の改善テーマ

はじめに

現バージョンのゲンゴーは、建設現場特化、多言語対応、シンプルなUI、手軽なクイズ体験という土台をすでに持っています。
そのうえで、次の改善テーマとして見えているのが、より学習が続く体験への進化です。

正解がもっと嬉しくなる設計が必要

今後の改善点として挙げられていたのは、ゲーミフィケーション要素の強化です。
現状でも、はなまる表示や即時解説など、学習を前向きにする工夫は入っています。
それをさらに進めて、正解すること自体がもっとモチベーションにつながる体験へ高めていく余地があります。

AIで学習サポートをより個別化したい

今後さらに伸ばしたい点として、AI学習サポートによるパーソナライズも挙げられていました。
学習者の進捗や苦手に応じて、出題や導線がより最適化されていけば、継続率にも大きく影響してきます。
現場で使うAIから、学習を支えるAIへ広げていく可能性があります。

問題集は現場の言葉を吸い上げながら改善していく

今後現場特化を深める方向として、実際の現場で使われる単語を継続的に吸い上げ、問題集へ反映していく構想もあります。
これは、固定された教材ではなく、現場に合わせて育つ学習アプリにしていく方向です。
建設業界の実態に近づくほど、アプリの価値も高まっていきます。

まとめ

ゲンゴーが目指しているのは、日本語学習が進み、日本での生活がより充実したものになることです。
今後は、手軽に学べる土台に加えて、もっと続きやすく、もっと自分向けに感じられる体験へ進化していくはずです。
現場の課題から始まったアプリが、仕事と生活の両方を支える存在になっていけるように引き続きプロジェクトを進めていきたいと思います。


まとめ

ゲンゴーの開発で一貫して意識したのは「現場で実際に使われるか」です。学習アプリは機能が豊富でも、毎日継続されなければ意味がありません。シンプルさと特化を両立させることで、忙しい現場担当者でも続けられるアプリを目指しました。
micomiaでは、特定のユーザー層や業界に向けた学習・教育アプリの開発をサポートしています。

畑井駿佑

畑井駿佑

micomia株式会社の代表取締役です。 エンジニア、プロジェクトマネージャーを経験し、2024年にUI/UXにこだわった使いやすいシステム/アプリを開発するmicomia株式会社を設立しました。

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