micomia

Blog

技術記事

マルチモーダルAIとは?|AI専門用語をわかりやすく解説!

マルチモーダルAIとは?|AI専門用語をわかりやすく解説!

「AIに画像を見せて質問したら、的確に答えてくれた」そんな体験をしたことはありませんか?

マルチモーダルAIとは、テキスト・画像・音声・動画など複数の種類(モード)の情報を同時に理解・処理できるAI技術です。ChatGPTやGeminiなど最新の生成AIにもこの技術が活用されており、AIの活用範囲を大きく広げています。

この記事では、マルチモーダルAIの仕組みや活用例、ビジネスでの応用までわかりやすく解説します。




1. はじめに

従来のAIは「テキストだけ」「画像だけ」のように、単一の情報形式しか扱えないものが主流でした。しかし、人間は目で見て、耳で聞いて、文字を読んで、複数の感覚を組み合わせて情報を理解しています。

マルチモーダルAIは、この人間の情報処理に近い形で、複数の種類のデータを統合的に理解できるAI技術です。画像を見て質問に答えたり、動画の内容を要約したり、音声と表情から感情を読み取ったりすることが可能になりました。



2. マルチモーダルAIとは

マルチモーダルAIとは、テキスト・画像・音声・動画など、複数の情報形式(モダリティ)を同時に理解し処理できるAIのことです。「モーダル(modal)」は情報の形式や種類を意味し、「マルチモーダル」は複数の形式を扱うことを表します。


マルチモーダルAIの主な特徴は以下の通りです。

  • テキスト・画像・音声・動画など複数の情報を同時に理解できる

  • 異なる形式のデータを意味的に結びつけて処理できる

  • 人間の五感に近い形で情報を統合的に理解できる

  • より自然で高精度なAI応答を実現できる


例えば、ChatGPTに写真を見せて「この料理は何ですか?」と質問すると、画像を解析して「これはカルボナーラです」と答えてくれます。これはテキスト(質問)と画像(写真)を同時に理解するマルチモーダルAIの能力です。



3. 身近で使われているマルチモーダルAIの例

マルチモーダルAIは、すでに多くのサービスに組み込まれています。

サービス・場面

扱う情報の種類

マルチモーダルAIの役割

ChatGPT(GPT-4o)

テキスト+画像

画像を見て質問に回答、画像の内容を説明

Google Gemini

テキスト+画像+動画

動画の内容理解、画像付き質問への回答

Google Lens

画像+テキスト

カメラで撮影した物体の情報を表示

Siri・Googleアシスタント

音声+テキスト

音声認識と自然言語理解を組み合わせた対話

自動運転車

映像+センサーデータ

カメラ映像とセンサー情報を統合して安全走行


特にGPT-4oやGeminiでは、画像・音声・テキストをシームレスに扱えるようになり、「AIと自然に会話する」体験が大きく向上しています。



4. マルチモーダルAIの仕組み

マルチモーダルAIは、異なる種類の情報をそれぞれ専用のエンコーダで数値化(ベクトル化)し、共通の意味空間で統合的に処理します。

  1. 各モダリティのエンコーディング:テキストはテキストエンコーダ、画像は画像エンコーダ、音声は音声エンコーダで、それぞれ数値ベクトルに変換されます。

  2. 共通空間への統合:異なる形式のベクトルを共通の意味空間にマッピングします。CLIP(画像とテキストを同じ空間で理解する技術)はこの代表例です。

  3. 統合的な推論:共通空間上で異なるモダリティの情報を組み合わせて、質問への回答、要約、分類などのタスクを実行します。


この仕組みにより、「テキストで質問し、画像を見て回答する」「動画の映像と音声から内容を要約する」といった、複数の情報を横断した処理が可能になります。大規模言語モデルLLM)と組み合わせることで、さらに高度な応答が実現されています。



5. ビジネスでの活用

マルチモーダルAIはさまざまなビジネスシーンで活用が進んでいます。

  • カスタマーサポート:テキストチャットに加えて、画像や動画を送信して問い合わせできるAIサポート。「この部品が壊れた」と写真を送るだけで、AIが問題を特定し解決策を提案します。

  • 医療・ヘルスケア:レントゲン画像と患者の症状テキストを組み合わせた診断支援AI。複数の情報源を統合することで、より正確な診断をサポートします。

  • 製造業・品質管理:カメラ映像とセンサーデータを組み合わせた製品検査AI。目視検査では見逃しやすい不良品を高精度で検出します。

  • 教育:音声・テキスト・画像を組み合わせたAIチューター。生徒の質問をテキストや音声で受け付け、図解を交えてわかりやすく回答します。

  • コンテンツ制作:テキストの指示から画像や動画を生成するクリエイティブツール。マーケティング素材やSNSコンテンツの制作効率を大幅に向上させます。



6. 関連用語

マルチモーダルAIに関連するAI用語を紹介します。

  • CLIP:画像とテキストを同じ意味空間で理解するAIモデル。マルチモーダルAIの基盤技術

  • LLM大規模言語モデル:テキスト処理の基盤となるAIモデル。マルチモーダル化が進んでいる

  • 生成AI:テキスト・画像・音声など新しいコンテンツを生成するAI技術の総称

  • 音声合成TTS:テキストから音声を生成する技術。マルチモーダルAIの出力モダリティのひとつ

  • トークン:AIがテキストを処理する最小単位。マルチモーダルAIでは画像トークンも存在する

  • ディープラーニング:多層ニューラルネットワークによる学習手法。マルチモーダルAIの基盤



7. まとめ

マルチモーダルAIは、テキスト・画像・音声・動画など複数の情報形式を統合的に理解できるAI技術です。人間が五感を使って情報を理解するのと同様に、AIも複数の情報を組み合わせてより正確で自然な応答ができるようになりました。

ChatGPTやGeminiなどの最新AIはすでにマルチモーダル対応しており、今後はさらに多くのサービスやアプリケーションでこの技術が活用されていくと予想されます。



8. AI開発・アプリ開発のご相談

マルチモーダルAIを活用した画像認識システムの構築や、音声とテキストを組み合わせたAIアシスタントの開発など、AIは多くのビジネスに新しい価値をもたらしています。

micomia株式会社では、AI機能を活用したアプリ開発やシステム開発を行っています。「マルチモーダルAIを導入したい」「画像や音声を活用したAIサービスを開発したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。

松久保波希

micomia株式会社所属のAIエンジニアです。 機械学習モデルの設計・開発・評価を担当しており、データ前処理からモデル構築、学習、検証、改善まで一貫して行っています。

関連記事

問い合わせフォームの営業メールはどうやったら防げる?|reCAPTCHAで止まらない理由と、受信側で分ける方法
AI

問い合わせフォームの営業メールはどうやったら防げる?|reCAPTCHAで止まらない理由と、受信側で分ける方法

問い合わせフォームに届く営業メールの対策。ある月は214件中6件しか本物の問い合わせがありませんでした。reCAPTCHAが効かない理由と、受信側で仕分ける方法を実測値つきで解説します。

自分をコピーしたAIを作ってみた|ローカルLLMで自分の業務をそのまま代行する
AI

自分をコピーしたAIを作ってみた|ローカルLLMで自分の業務をそのまま代行する

自分の知識をAIにしたいと思い畑井駿佑AIを作成しました。 これはもっとアプリ・システム開発について相談しやすくするために開発しました。 AIの回答ってまだアプリ・システム開発の経験に反すものが多いので、その弱点を埋めるようなモデル作りを心がけて設計・実装・学習させました。

【社長の知識をAIに】園芸の知識を学習したAI社長を開発しました。
AI

【社長の知識をAIに】園芸の知識を学習したAI社長を開発しました。

YouTube動画159本の知識をベースに社長AIを構築しました。 利用ケースなども考慮しながらAIモデルの設計・開発を行いましたのでその開発記録をご紹介します。

人工衛星×AIで土地の変化を検出するアプリを開発|実際のシステムの画面も公開
AI

人工衛星×AIで土地の変化を検出するアプリを開発|実際のシステムの画面も公開

衛星データ(Sentinel-2)を活用して、土地の変化や不正利用・無許可造成を広域で検知・監視する方法を、企業・自治体向けにわかりやすく解説します。仕組みや活用場面、導入時の注意点に加え、micomiaが開発する土地利用の異常監視システムの実例もご紹介します。

Apple Businessを利用したMDMとは?Mac・iPhoneの端末管理とセキュリティ対策
その他

Apple Businessを利用したMDMとは?Mac・iPhoneの端末管理とセキュリティ対策

Apple BusinessのMDMでMacやiPhoneを会社として管理する方法を、システム開発会社の視点で解説します。画面ロックやFileVaultなどの構成、ブループリントによる一括適用、管理対象Apple Account、紛失・盗難時のリモートロック、入退社時の端末管理までまとめました。

ISO/IEC 27001取得を見据えて進める情報セキュリティ対策
その他

ISO/IEC 27001取得を見据えて進める情報セキュリティ対策

システム開発会社は、ソースコードやクラウド環境、APIキーなど多くの情報資産を扱います。micomiaがISO/IEC 27001(ISMS)取得を見据えて進めている、端末管理・権限管理・多要素認証・セキュアコーディング規約・入退社時の対応などの取り組みを紹介します。

公式LINEと自社アプリ、どちらが合っている?メリット・デメリットと選び方を解説
発注ガイド

公式LINEと自社アプリ、どちらが合っている?メリット・デメリットと選び方を解説

顧客との接点を作るなら、公式LINEと自社アプリのどちらが合っているのでしょうか。公式LINEのメリット・デメリットと自社アプリでできることを整理し、ブランドに合わせた選び方を実例とともに解説します。

アプリはリリース後にどう育てる?4,000ダウンロードを突破した「グリラボ」の運営・改善事例
開発ストーリー

アプリはリリース後にどう育てる?4,000ダウンロードを突破した「グリラボ」の運営・改善事例

YouTubeとInstagramから広告を使わず4,000ダウンロードを獲得した園芸アプリ「グリラボ」を題材に、利用データとユーザーの声をもとに機能やUIを改善するアプリ運営の方法を解説します。

AI駆動開発とは?プロンプトだけでアプリを作る方法との違いを開発会社が解説
開発用語集

AI駆動開発とは?プロンプトだけでアプリを作る方法との違いを開発会社が解説

AI駆動開発とは、AIにアプリ開発を丸投げする方法ではありません。エンジニアが設計と品質に責任を持ち、AIで実装、テスト、レビューを効率化する開発方法です。プロンプト生成型との違いや、品質と安全性を高める考え方を初心者向けに解説します。

グリラボとは?写真から植物や庭の悩みを相談できるAI園芸サポートアプリ
その他

グリラボとは?写真から植物や庭の悩みを相談できるAI園芸サポートアプリ

グリラボは、植物や庭の写真から、種類・状態・病害虫・剪定・雑草対策などをAIに相談できる園芸アプリです。限定・お値打ちな植物を購入できるアウトレットショップも利用できます。

micomiaのセキュリティ対策 — お客様のアプリを守るために、私たちがすること
発注ガイド

micomiaのセキュリティ対策 — お客様のアプリを守るために、私たちがすること

micomiaが全開発案件に標準で組み込むセキュリティ対策を、スマホアプリ編・Web編に分けて解説します。App Check、二層防御、XSS・CSRF対策、鍵の管理方法など、専門用語も一つずつご説明します。

アプリの調子がおかしい6つの症状|原因の見立てと、自分で直せるか開発会社に頼むかの分かれ目
発注ガイド

アプリの調子がおかしい6つの症状|原因の見立てと、自分で直せるか開発会社に頼むかの分かれ目

アプリの画面が真っ白、ボタンが反応しない、プッシュ通知が届かない、403エラー、退会しても使えるなど、よくある6つの症状について、考えられる原因と、自分で確認・対応できる範囲、開発会社に頼むべき範囲を整理し、解説しています。

植物専門SNS「でぃぐりーん」開発記録|初心者が最初の一鉢を買えない課題をアプリで解決した方法
開発ストーリー

植物専門SNS「でぃぐりーん」開発記録|初心者が最初の一鉢を買えない課題をアプリで解決した方法

植物初心者の「どれを買えばいいか分からない」という悩みを解決するために開発した、植物専門SNS『でぃぐりーん』の開発記録です。専門SNSを作る前の現場体験、MVPでのスピード開発、位置情報を使ったUX、AI機能まで全体をまとめました。

建材特化フリマアプリ「Mate-Re:」開発記録|業界特化設計・決済・UI/UXの裏側
開発ストーリー

建材特化フリマアプリ「Mate-Re:」開発記録|業界特化設計・決済・UI/UXの裏側

建設現場で廃材が捨てられてしまう課題から生まれた、建材特化フリマアプリ『Mate-Re:』の開発記録です。業界特化の設計思想や現場目線のUI/UX、Stripe Connectを使った決済実装、循環経済を意識した設計までまとめました。

医療従事者向けSNS「メディカルサークル」開発記録|信頼感のUI設計・RevenueCat課金・コミュニティ安全設計の裏側
開発ストーリー

医療従事者向けSNS「メディカルサークル」開発記録|信頼感のUI設計・RevenueCat課金・コミュニティ安全設計の裏側

医療従事者専用SNS『メディカルサークル』の開発記録です。医療情報を安全に共有するための設計、RevenueCatを使った課金実装、コミュニティの安全設計、専門家認証機能まで、信頼感を重視した開発の裏側を解説します。

建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側
開発ストーリー

建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側

建設現場で働く外国人技能実習生に向けた日本語学習アプリ『ゲンゴー』の開発記録です。多言語対応や4択クイズの設計、建設業界に特化した学習コンテンツの設計思想まで、ニッチ特化アプリを作る裏側を解説します。

園芸サポートアプリ「グリラボ」開発記録|初心者向けUI・育成ガイド・楽しさ設計の裏側
開発ストーリー

園芸サポートアプリ「グリラボ」開発記録|初心者向けUI・育成ガイド・楽しさ設計の裏側

植物初心者が「続けられない」という課題を解決するために開発した、園芸サポートアプリ『グリラボ』の開発記録です。文字を詰め込まないUI設計、育成ガイド、ゲーミフィケーション、AI機能の役割分担まで全体をまとめました。

FlutterFlowでできないこと|開発会社が実例で解説する限界と回避策
発注ガイド

FlutterFlowでできないこと|開発会社が実例で解説する限界と回避策

FlutterFlowが苦手とするStripeのサブスク決済や帳票生成、セキュリティ・デザイン自由度の制約を、開発会社が実例つきで整理しました。どこで限界に当たり、どう回避してFlutterと使い分けるかの判断基準まで分かります。

アート特化SNSアプリ「Artl」開発記録|作品ファースト設計・「鑑賞しました」・トリミングしない展示の裏側
開発ストーリー

アート特化SNSアプリ「Artl」開発記録|作品ファースト設計・「鑑賞しました」・トリミングしない展示の裏側

アート特化SNS『Artl』の開発記録です。作品を主役に置く『作品ファースト』の設計や、クリエイターが使いやすい投稿体験の実装、Firebase連携、コミュニティ設計の裏側を、開発者の視点から解説します。

AI駆動開発の注意点|開発会社が実践してわかった「速いけど危うい」落とし穴と対策
発注ガイド

AI駆動開発の注意点|開発会社が実践してわかった「速いけど危うい」落とし穴と対策

AI駆動開発は速さの裏で落とし穴も増えます。曖昧な指示でかえって遅くなる、セキュリティや依存関係の見落とし、コードの一貫性の崩れといった注意点と対策を、非エンジニアが陥りやすい権限・データ保存の失敗もあわせて解説します。