micomia

Blog

技術記事

YOLO(ヨロ)でできること|物体検出・セグメンテーション・姿勢推定など5つのタスクを解説

YOLO(ヨロ)でできること|物体検出・セグメンテーション・姿勢推定など5つのタスクを解説

micomia株式会社のAIエンジニア、松久保です。

今回はコンピュータービジョンの分野で「YOLOを使うと何ができるのか」を、初心者の方にも分かりやすく解説します。特に、Ultralytics YOLO 11でサポートされているタスクを中心に紹介します。

Ultralytics YOLOは、高速かつ高精度な推論を可能にするオープンソースのAIフレームワークであり、汎用性の高さが大きな特徴です。物体検出、セグメンテーション(領域分割)、分類、姿勢推定、OBB(回転物体検出)といった複数のコンピュータービジョンタスクを一つのフレームワークで扱うことができます。以下では、それぞれのタスクの概要と活用例を紹介します。




1.Detection / 物体検出

物体検出(Object Detection)はYOLOの最もポピュラーなタスクです。画像や動画に写る物体を検出し、その位置をバウンディングボックスと呼ばれる矩形で囲みます。YOLOはリアルタイム推論が可能で、スマートフォンなどのエッジデバイスでも動作できます。

そのため、自動運転、防犯システムから農業や製造業まで幅広い分野で活用されています。


  • 製造業:不良品の検出や欠損部位の特定

  • 農業:果物や害虫の自動カウント

  • 自動運転:歩行者・車両・信号機の検出

  • 監視システム:不審物や侵入者の検出


画像認識


2.Image Segmentation / セグメンテーション

セグメンテーション(Segmentation)は、物体をバウンディングボックスで囲むだけでなく、ピクセルレベルでその領域を特定するタスクです。物体の輪郭に沿って「どの部分がどの物体か」を正確に識別できるため、より高精度な画像解析が可能になります。


この技術は医療や品質管理など、精密な認識が求められる現場で特に活用されています。

  • 医療:腫瘍や臓器領域の抽出

  • 農業:人間の目では気づきにくい欠陥や害虫の検出

  • AR/VR:背景除去や人物の切り抜き

  • ロボットビジョン:正確な形状認識による把持制御


image


3.Classify / 分類

画像分類(Classification)は、画像全体を一つのカテゴリに分類するタスクです。「この画像に写っているのは何か?」を判定します。教師データも作りやすく、YOLOの他タスクと組み合わせて利用することで、より高度なAIシステムを構築できます。


実際に活用例は非常に多く、さまざまなアプリケーションで活用されています。

  • ECサイト:Tシャツ・パーカー・ジャケットなど商品の自動分類

  • 製造現場:正常品と不良品の仕分け

  • 農業:病気葉と健康葉の判定

  • 環境監視:特定種の動植物やごみの分類検出



4.Pose Estimation / 姿勢推定

姿勢推定(Pose Estimation)は、人間や動物の関節位置(キーポイント)を検出し、骨格構造を推定するタスクです。人物や動物の姿勢をリアルタイムで解析し、動きやポーズの情報を抽出できます。


映像・医療・スポーツなど幅広く応用されています。

  • スポーツ解析:フォーム分析やトレーニング評価

  • フィットネスアプリ:姿勢の正確さチェック

  • 介護・医療:転倒検知や動作評価

  • エンタメ・映像制作:モーショントラッキングやアニメーション生成


image


5.(Oriented Object Detection)/ 回転物体検出

回転物体検出(Oriented Object Detection)は、通常の物体検出とは異なり、角度情報を加えた傾きのあるバウンディングボックスで物体を検出する技術です。


斜めから撮影された物体や角度のある構造物を正確に捉えることができ、特にドローンや衛星写真などの俯瞰映像で威力を発揮します。

  • ドローン撮影:建物や車両の方向検出

  • 港湾・海上監視:船舶の角度推定

  • 工場検査:角度付き部品や素材の向き検出

  • 地図解析・測量:建造物や道路形状の分析


image


6.まとめ

Ultralytics YOLOは、物体検出・セグメンテーション・分類・姿勢推定・OBBといった複数のコンピュータービジョンタスクを一元的に扱える強力なフレームワークです。


課題に応じたタスクを適切に組み合わせることで、汎用的かつ高精度な画像認識AIを構築できます。

また、独自データへのアノテーションを行いファインチューニングすることで、用途に特化したAIモデルを作ることも可能です。


image

松久保波希

micomia株式会社所属のAIエンジニアです。 機械学習モデルの設計・開発・評価を担当しており、データ前処理からモデル構築、学習、検証、改善まで一貫して行っています。

関連記事

植物専門SNS「でぃぐりーん」開発記録|初心者が最初の一鉢を買えない課題をアプリで解決した方法
開発ストーリー

植物専門SNS「でぃぐりーん」開発記録|初心者が最初の一鉢を買えない課題をアプリで解決した方法

植物初心者の「どれを買えばいいか分からない」という悩みを解決するために開発した、植物専門SNS『でぃぐりーん』の開発記録です。専門SNSを作る前の現場体験、MVPでのスピード開発、位置情報を使ったUX、AI機能まで全体をまとめました。

建材特化フリマアプリ「Mate-Re:」開発記録|業界特化設計・決済・UI/UXの裏側
開発ストーリー

建材特化フリマアプリ「Mate-Re:」開発記録|業界特化設計・決済・UI/UXの裏側

建設現場で廃材が捨てられてしまう課題から生まれた、建材特化フリマアプリ『Mate-Re:』の開発記録です。業界特化の設計思想や現場目線のUI/UX、Stripe Connectを使った決済実装、循環経済を意識した設計までまとめました。

医療従事者向けSNS「メディカルサークル」開発記録|信頼感のUI設計・RevenueCat課金・コミュニティ安全設計の裏側
開発ストーリー

医療従事者向けSNS「メディカルサークル」開発記録|信頼感のUI設計・RevenueCat課金・コミュニティ安全設計の裏側

医療従事者専用SNS『メディカルサークル』の開発記録です。医療情報を安全に共有するための設計、RevenueCatを使った課金実装、コミュニティの安全設計、専門家認証機能まで、信頼感を重視した開発の裏側を解説します。

建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側
開発ストーリー

建設現場向け日本語学習アプリ「ゲンゴー」開発記録|外国人技能実習生・多言語対応・4択クイズ設計の裏側

建設現場で働く外国人技能実習生に向けた日本語学習アプリ『ゲンゴー』の開発記録です。多言語対応や4択クイズの設計、建設業界に特化した学習コンテンツの設計思想まで、ニッチ特化アプリを作る裏側を解説します。

園芸サポートアプリ「グリラボ」開発記録|初心者向けUI・育成ガイド・楽しさ設計の裏側
開発ストーリー

園芸サポートアプリ「グリラボ」開発記録|初心者向けUI・育成ガイド・楽しさ設計の裏側

植物初心者が「続けられない」という課題を解決するために開発した、園芸サポートアプリ『グリラボ』の開発記録です。文字を詰め込まないUI設計、育成ガイド、ゲーミフィケーション、AI機能の役割分担まで全体をまとめました。

FlutterFlowでできないこと|開発会社が実例で解説する限界と回避策
発注ガイド

FlutterFlowでできないこと|開発会社が実例で解説する限界と回避策

FlutterFlowが苦手とするStripeのサブスク決済や帳票生成、セキュリティ・デザイン自由度の制約を、開発会社が実例つきで整理しました。どこで限界に当たり、どう回避してFlutterと使い分けるかの判断基準まで分かります。

アート特化SNSアプリ「Artl」開発記録|作品ファースト設計・「鑑賞しました」・トリミングしない展示の裏側
開発ストーリー

アート特化SNSアプリ「Artl」開発記録|作品ファースト設計・「鑑賞しました」・トリミングしない展示の裏側

アート特化SNS『Artl』の開発記録です。作品を主役に置く『作品ファースト』の設計や、クリエイターが使いやすい投稿体験の実装、Firebase連携、コミュニティ設計の裏側を、開発者の視点から解説します。

AI駆動開発の注意点|開発会社が実践してわかった「速いけど危うい」落とし穴と対策
発注ガイド

AI駆動開発の注意点|開発会社が実践してわかった「速いけど危うい」落とし穴と対策

AI駆動開発は速さの裏で落とし穴も増えます。曖昧な指示でかえって遅くなる、セキュリティや依存関係の見落とし、コードの一貫性の崩れといった注意点と対策を、非エンジニアが陥りやすい権限・データ保存の失敗もあわせて解説します。

AI野球コーチアプリ「NEOLAB AI」開発記録|スポーツ×AI・チャットUI・個別最適化の設計思想
開発ストーリー

AI野球コーチアプリ「NEOLAB AI」開発記録|スポーツ×AI・チャットUI・個別最適化の設計思想

AI野球コーチアプリ『NEOLAB AI』の開発記録です。スポーツ×AIという組み合わせや、チャットUIで個別指導を届ける仕組み、一人ひとりに最適化する設計思想まで、開発の背景と技術的な工夫を開発者が解説します。

ノーコードでアプリ開発はどこまでできる?Adalo→FlutterFlow移行の実例で限界と本番化を解説
ノーコード・FlutterFlow

ノーコードでアプリ開発はどこまでできる?Adalo→FlutterFlow移行の実例で限界と本番化を解説

ノーコードアプリ開発のリアルを開発会社が解説します。Adalo・Glideなど無料ツールの特徴と限界から、FlutterFlowへ移行した実例まで紹介し、どこまで作れてどこで限界を感じるのかを、実際の本番開発の経験をもとにお伝えします。

ECサイトをシステム会社に発注するなら「要件リスト」を先に揃えるべき!|10領域の全項目チェックリスト
発注ガイド

ECサイトをシステム会社に発注するなら「要件リスト」を先に揃えるべき!|10領域の全項目チェックリスト

ECサイトをシステム会社へ発注する前に要件を整理しないと、見積もりのズレや追加費用が生じやすくなります。決済・配送・会員管理・管理画面・外部連携など10領域の全項目をチェックリスト形式でまとめ、発注前に押さえるべき要件が分かります。

アプリ開発を依頼するには?費用・流れ・依頼先の選び方を開発会社が解説|micomia
発注ガイド

アプリ開発を依頼するには?費用・流れ・依頼先の選び方を開発会社が解説|micomia

アプリ開発を依頼するときの流れを、要件整理から開発会社選定・見積もり比較・契約・開発・リリースまでの6ステップで整理しました。費用の目安やフリーランスと開発会社の違い、依頼先の具体的な選び方まで開発会社が分かりやすく解説します。

アプリ開発費用の相場と内訳|種類別の目安・予算を抑えるコツ・依頼前の整理ポイントを開発会社が解説
発注ガイド

アプリ開発費用の相場と内訳|種類別の目安・予算を抑えるコツ・依頼前の整理ポイントを開発会社が解説

アプリ開発費用の相場はSNS・マッチング・業務系など種類で大きく変わります。ノーコード・MVP・フルスクラッチそれぞれの費用目安と内訳、予算を抑えるコツや依頼前に整理しておきたいポイントを開発会社が分かりやすく解説します。

恋愛系マッチングアプリを作りたいと思ったら読む記事|開発会社が教える、作る前に詰めるべきこと
発注ガイド

恋愛系マッチングアプリを作りたいと思ったら読む記事|開発会社が教える、作る前に詰めるべきこと

恋愛系マッチングアプリの開発で失敗しないために、作る前に詰めておきたい6つのポイントを解説します。ターゲット設定やマネタイズ、不正ユーザー対策、年齢確認の実装、プロフィール設計、マッチングアルゴリズムまで押さえるべき要点が分かります。

省人化とは?意味・読み方と中小企業のバックオフィス業務で進める具体的な方法
DX

省人化とは?意味・読み方と中小企業のバックオフィス業務で進める具体的な方法

省人化は業務プロセスを自動化・効率化し、少ない人員で仕事を回す取り組みです。RPA・AI・クラウドを使った中小企業のバックオフィス省人化を4つのパターンに整理し、実践の手順まで具体的にまとめました。

SNSアプリの作り方完全ガイド|開発費用・作成手順・必要機能・成功事例まとめ
開発Tips

SNSアプリの作り方完全ガイド|開発費用・作成手順・必要機能・成功事例まとめ

SNSアプリの作り方を、パッケージ開発とオーダーメイド開発に分け、費用・機能・開発期間・ターゲット設定の4観点で比較します。依頼前に整理すべき点や費用相場を、SNS開発の実績がある開発会社が解説します。

【これ一本で丸わかり】FlutterFlowとは?できること・料金・日本語対応・iOS/Android開発までわかりやすく解説
ノーコード・FlutterFlow

【これ一本で丸わかり】FlutterFlowとは?できること・料金・日本語対応・iOS/Android開発までわかりやすく解説

FlutterFlowとは何か、できること・料金プラン・日本語対応・iOS/Android対応状況を開発会社が本音で解説します。複数アプリをApp Store・Google Playへリリースした経験から、メリットもデメリットも紹介します。

システム受託開発とは?依頼前に知るべき流れ・契約形態・費用相場
発注ガイド

システム受託開発とは?依頼前に知るべき流れ・契約形態・費用相場

システム受託開発の流れを、要件定義から設計・開発・テスト・納品までの5工程に沿って整理しました。請負契約と準委任契約の違い、50万〜1000万円以上という費用相場の考え方、信頼できる開発会社の選び方まで発注前に分かります。

要件定義が曖昧でも相談してよいのか|アプリ開発の進め方をわかりやすく解説
発注ガイド

要件定義が曖昧でも相談してよいのか|アプリ開発の進め方をわかりやすく解説

要件定義がまだ固まっていなくても、開発会社に相談して問題ない理由を解説します。曖昧な状態から要件を一緒に整理していくサポート体制や進め方の実際を紹介し、アイデア段階でも相談してよいと分かる内容にまとめました。

FlutterFlowとFlutterの違いとは?特徴・開発スピード・使い分けを徹底比較
ノーコード・FlutterFlow

FlutterFlowとFlutterの違いとは?特徴・開発スピード・使い分けを徹底比較

FlutterFlowとFlutterは何が違うのかを、開発スピード・カスタマイズ性・必要スキルの3軸で比較します。MVPや社内ツールにはFlutterFlow、高度な処理や独自UIにはFlutter、プロジェクト別の使い分けが分かります。